忍者は今やテレビやアニメを通じて海外にまで広く知れ渡り、奇抜なアクションで人々を魅了しています。江戸時代以降、歌舞伎や小説の世界で、不思議な術を使って悪者を討つというストーリーで人気を博してきました。一方、イエズス会が編纂した「日葡辞書」には、忍者は「Xinobi」(シノビ)として記載され、17世紀初頭には海外の人々にまで伝わっており、そこには「戦争の際に、状況を探るために、夜、または、こっそりと隠れて城内へよじ上ったり陣営内に入ったりする間諜」として紹介されています。
各地の大名に仕え、敵情を探り、奇襲戦にと戦国の影で活躍した忍者たち。忍者の名は広く知られていても、今日なお謎に満ちており、真の姿を知る人は少なかったよう。今、求められているのは忍者の本当の姿、すなわち「リアル忍者」です。
忍者発祥の地、伊賀、甲賀
三重県伊賀地方と滋賀県甲賀地方は忍者の発祥地として名高く、江戸時代の地誌「近江輿地志略」には「忍者(しのびのもの)伊賀甲賀と号し忍者という」とあり、忍者は「伊賀、甲賀の者」が代表格とされてきました。「甲伊一国」とも言われ、なだらかな丘陵を境に南北に隣り合い、今も交流が盛んです。
京都や奈良などにも程近いことから情報が入りやすく、東に鈴鹿山脈、西に笠置山地に囲まれた山間の地は、時の権力者の恰好の亡命地であり、また大和街道や東海道が通る東西交通の要衝、そして軍事的にも重要な地域でもありました。伊賀、甲賀地方からどうして忍者や忍術が生まれたのか、その答えは忍びの里を訪ね歩くと自ずと見つけることができます。